

このたび、南生協病院の院長を拝命しました。
生協は地域住民のために作られた組織であり、その医療機関は常に患者本位の医療をめざしていると感じています。南医療生協で医師として働く中で常に感じるのは、患者さん・家族とスタッフの距離の近さです。各科が専門分化するなか、南生協病院がすべての患者さんを最初から最後まで診ることは難しくなっています。それでも、組合員さんや職員にとって、何かあればまず相談できる病院でありたいと思います。
私はこの間、肝臓病と緩和ケアを担当してきました。肝炎の患者さんのなかにはあちこちの病院を巡ったあげく南生協病院に出会い、「やっと話が聞いてもらえた、納得できる説明が聞けて安心した」と言っていただいた方がいます。緩和ケア病棟は、治癒は望めない中で結果よりも過程を重視する医療ですが、たとえ命の終りがきても、ここで安心してすごせたと喜んでいただけたときに、われわれスタッフは励まされています。
「時には治療し、しばしば苦痛を和らげ、常に慰める」という言葉があります。医療はまずは救命救急が第一です。しかし、治らない、治せない方もみえ、老いはだれにも否応なく訪れます。南生協病院は、誰もが安心して相談でき、いつでも頼りになる病院であり続けたいと思います。
院長に就任するにあたり、組合員・職員の皆さんとともに、日本一安心して相談できる病院つくりをめざしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
総合病院 南生協病院 院長 長江浩幸

1991年5月11日
1991年度日本生協連医療部会総会にて確定
人間が人間として尊重され、いかなる差別も受けることなく、必要な医療を受けることは、私たち国民すべてが持つ基本的権利です。民主主義を求める運動が前進し、健康で文化的に生きる権利という憲法の理念が、国民の間に根づいてきています。この視点から、医療における公開と参加が求められるようになりました。
しかしながら現状は、医療の場においては患者の権利が確立されておらず、決して満足できるものではありません。患者の権利と責任、医療従事者と国・自治体それぞれの義務と責任について明らかにし、運動をすすめることは、医療の利用者・従事者双方にとって避けることのできない課題となっています。
医療生協は、地域の人々が、それぞれの健康と生活にかかわる問題を持ちより、組織をつくり、医療機関を所有・運営し、役職員・医療従事者との協同によって問題を解決するための運動を行なう、消費生活協同組合法にもとづく住民の自主的組織です。
組合員は、出資、利用、運営を通じて、あらゆる活動の担い手です。保健・医療活動においても、単なる受診者・受療者ではなく、これらの活動に主体的に取り組むことが求められています。
医療生協では、班や家庭を基礎とし、地域で健康づくりの運動を進めています。ここでいう健康なくらしとは、あらゆることに意欲的で、楽しく生きつづけることを可能にするため、自分を変え、社会に働きかけ、みんなが積極的に協力することです。これが私たちの追求する健康づくりの運動です。
組合員一人ひとりの参加と協同の力が、今日の医療生協をつくりあげました。人間のいのちを軽んじる動きもなくなってはいませんが、私たちは、これから参加と協同を大切にし、歩み続けます。
医療生協の「患者の権利章典」は、組合員自身のいのちをはぐくみ、いとおしみ、 そのために自らを律するものです。
同時に、組合員・地域住民すべてのいのちを、みんなで大切にし、支え合う、医療における民主主義と住民参加を保障する、 医療における人権宣言です。
患者には、闘病の主体者として、以下の権利と責任があります。
病名、病状(検査の結果を含む)、予後(病気の見込み)、 診療計画、処置や手術(選択の理由、その内容)、 薬の名前や作用・副作用、必要な費用などについて、納得できるまで説明を受ける権利。
納得できるまで説明を受けたのち、 医療従事者の提案する診療計画などを自分で決定する権利。
個人の秘密が守られる権利および私的なことに干渉されない権利。
病気やその療養方法および保健・予防等について学習する権利。
いつでも、必要かつ十分な医療サービスを、 人としてふさわしいやり方で受ける権利。医療保障の改善を国と自治体に要求する権利。
患者みずからが、 医療従事者とともに力をあわせて、これらの権利をまもり発展させる責任。
日本生協連医療部会では1991年、人としての権利と尊厳こそが医療の中心におかれるべきことをはっきり宣言した「医療生協の『患者の権利章典』」を確定しました。南生協病院でも患者の権利章典の理念に則って、患者さまと医療従事者との互いの信頼関係に立つ医療づくりに努めてきました。
インフォームドコンセント(Informed consent、直訳すれば「情報を与えられた同意」「知らされた上での同意」)は「患者の権利章典」のうち「知る権利」「自己決定権」及び「参加と協同」を柱として、患者さまの視点に立ちつつ、医療者と協同でつくる医療の原則です。
この実践により「患者の権利章典」の理念は更に広く深く患者さまのものになります。 ※「病は患者さまのもの」ですから闘病の主体者も患者さまです。医療者の説明(情報提供)を納得できるまで受け、自分の価値観にそった治療を決めて、医療の力を借りながら自らもすすんでよりよい生を生きる・・・これがインフォームドコンセントです。
基本的にインフォームドコンセントでは、患者さまが医療者側から診断や治療にあたって下記の内容を聞いて理解、納得し、それに同意し、治療に参加していきます。
1.病名、病状を知ることができる。
2.治療に必要な検査の目的と内容を知ることができる。
3.治療のリスクや予想される副作用などを知ることができる。
4.治療法や処置の成功の確率を知ることができる。
5.その治療法や処置以外の代替の方法があれば説明を受けることができる。
6.これらの治療を拒否した場合、どういう結果になるかを知ることができる。
●この際、医療者とのコミュニケーションに支障を来たさないよう、人的・物的な環境に配慮します。
● インフォームドコンセントは患者さまと医療者との共同行為であって、医療者は患者さまの反応を確かめつつ、患者さまが納得できるように努める必要があります。同時に、患者さまの側も自身の心身の状況を正しく伝える必要があります。
●自己決定が困難な状況の患者さまの場合は、当人の意思がもっともよく分かっていると思われる人を代理に立てることができます。
1.患者さまの意思、意向の確認→医療に関するアンケート(別紙)を確認。
o 現在の自分の状況をどのようにとらえているか。(病状、予後等)意志
o 患者情報をどの程度知りたいと思っているか。(カルテ開示も含めて)
o 自分の情報を家族の誰に伝えたいのか。(伝えたくない人は誰か)
o 自分の知りたい情報とご家族の知りたい情報に食い違いがある場合、自分自身はどうしたいのか。(悪性疾患の告知、非告知など)
2.患者さまのその後の人生(生活)に及ぼす影響についての情報をできるだけ正確につかむ。
o 現時点での状況、今後予想される経過が患者さまにどのような影響を及ぼすのか。
3.患者さまの意思決定能力があるかどうかの判断。
o 意識障害、認知症、精神疾患、発達遅滞等の有無と程度はどうか。
o 意思決定能力がないと判断した場合の代理人は誰か。
o 当人の事前指示があるか。
※医療スタッフは事前に必要な情報交換を十分にし、意志統一しておく。
1.病気の状況。
o (検査の目的・内容の同意を得た)検査結果、診断、自覚症状の原因説明。
2.治療・ケアーの選択肢とそれぞれの説明。
o 考えられる治療法とその目標(未治療を含む選択肢のすべて) o 無治療を含む治療法の効果とリスク 《[効果]考えられる治療の効果、[リスク]考えられる有害事象とその対策》 ↓ 考えられる治療の危険性と副作用、合併症の種類と頻度 日常生活に影響する後遺症の程度と期間 o 治療が及ぼす日常生活への影響:入院、休職期間、通院頻度、治療後のADL、社会復帰等
3.医療費等の予想。
4.セカンドオピニオンの説明、紹介先の一覧等。
1.場所、時間の設定の確認。
o 静かでプライバシーがまもられる環境であるか。
o 患者さまの状態への配慮をしているか。
2.主治医の態度。
o 患者さまの意向を尊重し、相互のやりとりの中で医療を行うことを説明したか。
o 患者さまが理解しているかどうかに気を配り、確かめながら話しているか。
o 詰問調になったり、圧力をかけたり、一方的に話し続けていないか。
o 結論を急いでいないか。
o いらいらしたり、焦ったりして話していないか。
o 医療従事者間で確認したことに基づいて話しているか。
o 医学用語や難しい言葉を用いていないか。
o どのような意思決定をしても医療従事者がサポートすることを伝えているか。
3.主治医以外の医療従事者の態度。
o 主治医とともに同席し、患者さまをサポートしているか。
o 患者さまの理解を促したり、患者さまが十分話せるように声をかけたり、説明した内容、患者さまの反応等を記録し、情報を医療従事者間で共有できるようにしているか。
o 患者さまのサポート体制を整え、チームで関わるよう配慮しているか。
o 患者さまやご家族の状況を理解するための情報共有等、主治医が患者についての理解を深めるためのサポートをしているか。 4.患者さまの理解と医療者の理解の確認。
(1)患者さまは十分話せているか、質問できているか。
o 患者さまが疑問、不安、自分の意向や気持ちを十分表現できるようリラックスした雰囲気づくりに努めているか。
o 患者さまは適切な意思決定ができるための必要かつ十分な情報を得ているか。
o その上で、治療方針に同意したか。
(2)患者さまに関わるすべての医療従事者が、継続して患者さまやご家族と対話を続けようとしているか。
o 患者さまの実情(人生)について十分な理解をしたか。
o その上で医療従事者は患者さまの意向に同意したか。
o 患者さまと共有した内容及び医療従事者と合意した内容について、書面に記し、1枚は患者さま、ご家族に渡し、1枚はカルテ記録として保存したか。
1.患者さまと関わるすべての医療従事者が、患者さまの主体性に配慮しながら、継続して患者さまと対話しているか。
2.患者さま、ご家族は適切な情報が得られたと感じているか。
3.方針選択に迷いや不安が生じた場合、その都度話し合いの場がもたれているか。
4.情報を得たときの患者さま、ご家族の状況はチーム内で共有しカンファレンスしているか。その後の「返し」はどのようにするのか。
委員会活動FLASH
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